著作権の登録
著作権の登録制度は、著作権が移転した場合の取引の安全を確保するためや保護期間の算定基準の明確化を図るために定められたものです。
なお、著作権は著作物(作品)を作った時点で自然に発生しますので、権利を取得するためには「登録」は必要ありません。
登録機関は、プログラム著作物が一般財団法人ソフトウェア情報センター(SOFTIC)、それ以外の著作物が文化庁となります。
▶ 文化庁(著作権)
▶ ソフトウェア情報センター(SOFTIC)
● 実名の登録
著作権の保護期間は、著作者が著作物を創作した時点から著作者の「死後50年」までが原則ですが、無名・変名の著作物の場合は「公表後50年」と定められています。 つまり、著作者名義を匿名や変名(特に、一般によく知られていないペンネーム)で公表した著作物の保護期間は、「公表後50年」と、実名での公表の場合と比べて、短くなってしまいます。 このディメリットを解消するために実名の登録制度があります。
実名の登録をすれば、保護期間が「公表後50年」から「死後50年」に延長される効果があります。
● 第一発行年月日等の登録
著作物の最初の発行(公表)の年月日を登録により公示する制度です。 例えば、盗作問題が起きたときに先に創作したことの立証負担が軽減したり、著作権の保護期間が「公表時から」となっている著作物(映画、団体・グループ名義の著作物など)の保護期間の起算点を明確にすることができます。
実質的には、第一発行年月日等の登録は、登録作品が著作物であることや登録権利者が著作権者であることなどを公証してもらうという意味合いもありますので、この目的で登録制度を利用する選択もあります。
● 著作権の登録 (譲渡等があった場合)
著作権の譲渡は、当事者間の契約成立によって効力が発生しますので、著作権の譲渡があったからといって必ずしも登録が必要なわけではありません。
登録のメリットの典型的な例としては、二重譲渡のケースです。稀なケースではありますが、この場合、契約の前後に関係なく、先に登録を受けたほうが権利主張することができます。 万が一のケースを考えたい場合は、登録を受けて対抗要件を備えておいたほうが安全と言えます。
この登録申請は、著作権の譲受人と譲渡人の共同申請が原則ですが、譲渡人の承諾書があれば、譲受人が単独で申請することも可能です。
※ 譲渡等の登録については、レコード製作者や実演家(歌手・演奏家・俳優・声優など)等の権利である著作隣接権も登録することができます。
● プログラムの著作権の登録
プログラム登録には、創作年月日、実名、第一発行年月日等、著作権の譲渡等の登録の4種類があります。プログラムは未公表のまま使用されることが多いため、「創作年月日」を登録することで著作権の保護期間の起算点を明確にできます。
登録の効果は第一発行年月日等と概ね同じですが、登録を受けるためには、創作後6か月以内に申請する必要があります。